高橋が年少の頃1960年代のお話です
本家は岩手県三陸海岸の小さな漁港の漁師でした
夏休みに本家へ泊まりに行くといつも庭の作業小屋
から煙と共になんか甘い良い匂いがしていました。
小屋に行くと叔母さんが作業していて訊ねると
ウニを割ってその身をアワビの貝殻に盛っていると言う
煙は出て無いしあの甘い香りもしなかったけどウニを
スプーンですくっては貝殻に盛る作業を見ていました
盛り付けが終わるとおひつに並べて釜に火を着けました
しばらくすると釜の湯気から徐々にあの甘い香りがして来て…
「あぁ これだったのか、ウニって蒸すと甘くなるのか」って
甘い香りが充満した小屋の板の隙間から入り込む光に映る湯気
子どものぼくは「香りが見えた」ような気がしました
三陸の蒸し焼きのウニ 商品名【重茂の焼きカゼ】は漁師が
朝取ったウニを小屋で貝に盛って蒸して造った家内製造でした
浜辺の作業小屋大釜で蒸されたウニの甘い香り
50年経った今でも浜の小屋での甘い香は素敵な思い出です。